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匠に役立つ塗り壁ブログBLOG

2022/03/18(金曜日)伝統の左官仕上げ|大津壁を施工する場合のポイント

施工するまでの適度な練り置きが大事

 

大津壁は「色土」「石灰」「すさ」の3つの素材を調合し、水で練ったものを上塗りする仕上げです。漆喰のように海藻糊は入っておりません。
この海藻糊を混ぜない、入っていない事が、施工をより難しくしています。要するに大津壁を施工するには高い技術が必要になるということです。

それではここで少しおさらいです。漆喰や土壁に混ぜる海藻糊の役割、みなさん覚えていますか。

 

 

海藻糊の一番大きな役割は、塗り壁材料の保水性を高めて作業時に水不足にならないようにする事です。水不足になるとドライアウト(急激乾燥)が起きて剥がれ落ちたり、強度不足になったりします。

また、保水性があまりない仕上げ材は薄く塗ることが難しくなります。薄く塗るとすぐ乾燥し、作業性が悪いためです。作業性を優先すると厚塗りになりがちで、その結果、収縮クラック(割れ)が発生したりします。

海藻糊を混ぜない大津壁は保水性が高い材料とは言えません。しかし、仕上げ塗りは2ミリ程度と薄いため、その他仕上げ材料と比べると乾燥はどうしてもはやくなります。
このような材料を施工するには、乾燥するまでの短時間で均一に塗り付け、鏝跡を消していく技術と正確性が必要になります。

 

■保水性を補うための練り置き

 

動画でもご紹介しておりますが、実際に大津壁を作り塗ってみました。練り置きはせず、作った大津壁をすぐ塗ってみたのですが、やはり乾きがはやい!なので作業は手際よくしないと平滑にもできません。

乾きがはやい理由には糊が入っていない事ももちろん影響していると思いますが、粘土分の多い土の性質もあるように思います。

大津壁の素材を調合し水で練った時、自分にとって一番塗りやすい固さ、練り加減になるように調整しましたが、練ってから10分程度で材料がかなり締まって固くなりました。

大津壁には粒子の細かい、粘土分の多い色土を使用しますが、粒子が細かいため土の細部まで水が浸透するには時間がかかり、練ってからもじわじわ水を吸っていくためこのような現象が起きたのだと感じます。

これが乾燥を早くしたもうひとつの理由です。なので、この現象を改善するためには、練り置きが有効であると思います。

 

 

土と石灰を混ぜるため、漆喰のように長期間の練り置きはできませんが、大津壁を施工する前日に水で練っておき、施工する直前に再度水を加えながら塗りやすい固さに調整する。

これを行うだけで保水性はかなり改善されると思います。

 

■すさにも十分に水分を吸わせる

 

もうひとつ練り置きをおすすめする理由は素材のすさにも十分に水分を吸わせたいからです。

水で練ってすぐの麻や紙のすさは、水分を吸いきっておらず、ピンピンと立っており、塗り付けた時、すさを引きづったような表面になりました。

引きづった表面を直そうと鏝をとおしましたが、なかなか平滑にすることはできませんでした。

この現象を改善するのにも練り置きし、すさに水分を吸わせることが重要だと感じました。

 

 

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