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2022/03/21(月曜日)大津壁はどんな配合|並大津の配合

 

大津壁の配合に決まった配合はない 配合の目安をご紹介

 

 

大津壁の歴史は古く、江戸時代から続く伝統的な工法で「色土」と「石灰」と「すさ」のみで施工します。

色土にも様々な種類があり、例えば粘土分の高い、黄土を「黄大津」や白土を使った「白大津」など様々な色の大津壁があります。

大津壁にも、「並大津」と「磨き大津」の2種類があり、今回は一般的に使用される「並大津」の配合をご紹介。

並大津は、磨き大津に比べると施工は簡単で、一般的によく使わていました。

現代では、あまり使用されることの少ない大津壁だからこそ、配合が分からないという方も多いのではないのでしょうか。

 

「灰土」と「引き土」の作り方

 

■「灰土」とは・・・下塗用の大津壁

配合は目安として、容積比で色土を約100L、石灰を約30Lの割合で混入し、麻すさは4㎏ほど混入します。

土と石灰を混ぜた状態で練り置きすると硬化してしまうので、土とすさのみを水で練って状態で1週間ほど練り置きすることもあります。

 

■「引き土」とは・・・上塗り用の大津壁

引き土の配合の目安は、容積比で色土を約100Lに対し、石灰を約10~30Lの割合で、麻すさは灰土と同じ約4kgほど混入します。

石灰の量は、冬は多く夏は少なく、晴れの日は少なく曇りの日は多くするので天候や気温によって、職人さんの経験と知識で変わるんです。

 

 

ご紹介させていただいたのは、配合の目安で地域や職人さんあるいは、天候や気温によっても配合は変わるので、あくまでもご参考程度にお願いします。

 

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お気軽にお問合せください。

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「色土」と「石灰」と「すさ」だけを混ぜたのが大津壁


 

 

大津壁の歴史は古く、江戸時代から土蔵の仕上げに使われてきました。材料は、色土・石灰・すさ(麻すさ、紙すさ)のみで仕上げます。

大津壁は、漆喰とは違って糊材を使わないので、粘土分の多い色土が使われてきました。

有名なもので言えば、白土、黄土、浅黄土などがあげられ、特に浅黄土は当社がある淡路島で採掘される土です。

大津壁は、土によって色が変わり呼び名も変わります。

例えば、白土だと「白大津」、黄土だと「黄大津」、浅黄土だと「浅黄大津」という呼び名になります。

 

名前の由来は滋賀県産の【江州白】と呼ばれる白い土だと言われており、この【江州白】を採取していた場所が滋賀県の大津だったため、「大津壁」の名でその工法が全国に普及したとも言われています。

このように土によって大津壁は、色や呼び名が変わる仕上げ材なんです。

 

■大津壁と色漆喰の違い

 

色土を使って着色する大津壁は、漆喰を着色した色漆喰とは違い色ムラが起きにくいとされています。

理由は漆喰の色ムラの原因になるのは石灰だからです。

石灰は、雨や水に触れると白華(エフロ)という現象が起き、色ムラになります。

ですが、ほとんど土で出来ている大津壁は、漆喰と比べると白華(エフロ)が起きにくく、色むらが起きにくいんです。

 

■並大津と磨き大津

 

実は、大津壁にも大きく分けて2種類の仕上げ方法があります。

 

 

・並大津

並大津には、漂白された麻すさを使い主原料に大きなはありません。

昔は、安価な並大津がよく使われていましたが、強度が弱いことから現代建築に使用されることはかなり減りました。

特に磨き大津とは施工が異なり、比較的簡単で水引き具合を見て通常のコテ押さえで仕上げます。

 

 

・磨き大津

並大津とは全く違って、磨き大津は日本壁の中でも最高級の仕上げに属します。

紙すさを使用し、磨きこまれた表面は鏡のように美しく、硬さにおいても最も優れています。

その仕上がりに伴い、左官の熟練された技術も要し、並大津よりも上質な材料を使用します。昔は、水で練った材料を数年間も保存することがあったほどです。

しかし磨き大津は、材料以上に技術に左右される仕上げであり、昔から「坪一人持」と言われてきました。

これは、職人が朝から夕方にかけて1坪(3.3㎡)を受け持ち、作業を完了するという意味なんです。

つまり、磨き大津は左官仕上げのなかでも、かなり難しい仕上げになります。

 

 

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施工するまでの適度な練り置きが大事

 

大津壁は「色土」「石灰」「すさ」の3つの素材を調合し、水で練ったものを上塗りする仕上げです。漆喰のように海藻糊は入っておりません。
この海藻糊を混ぜない、入っていない事が、施工をより難しくしています。要するに大津壁を施工するには高い技術が必要になるということです。

それではここで少しおさらいです。漆喰や土壁に混ぜる海藻糊の役割、みなさん覚えていますか。

 

 

海藻糊の一番大きな役割は、塗り壁材料の保水性を高めて作業時に水不足にならないようにする事です。水不足になるとドライアウト(急激乾燥)が起きて剥がれ落ちたり、強度不足になったりします。

また、保水性があまりない仕上げ材は薄く塗ることが難しくなります。薄く塗るとすぐ乾燥し、作業性が悪いためです。作業性を優先すると厚塗りになりがちで、その結果、収縮クラック(割れ)が発生したりします。

海藻糊を混ぜない大津壁は保水性が高い材料とは言えません。しかし、仕上げ塗りは2ミリ程度と薄いため、その他仕上げ材料と比べると乾燥はどうしてもはやくなります。
このような材料を施工するには、乾燥するまでの短時間で均一に塗り付け、鏝跡を消していく技術と正確性が必要になります。

 

■保水性を補うための練り置き

 

動画でもご紹介しておりますが、実際に大津壁を作り塗ってみました。練り置きはせず、作った大津壁をすぐ塗ってみたのですが、やはり乾きがはやい!なので作業は手際よくしないと平滑にもできません。

乾きがはやい理由には糊が入っていない事ももちろん影響していると思いますが、粘土分の多い土の性質もあるように思います。

大津壁の素材を調合し水で練った時、自分にとって一番塗りやすい固さ、練り加減になるように調整しましたが、練ってから10分程度で材料がかなり締まって固くなりました。

大津壁には粒子の細かい、粘土分の多い色土を使用しますが、粒子が細かいため土の細部まで水が浸透するには時間がかかり、練ってからもじわじわ水を吸っていくためこのような現象が起きたのだと感じます。

これが乾燥を早くしたもうひとつの理由です。なので、この現象を改善するためには、練り置きが有効であると思います。

 

 

土と石灰を混ぜるため、漆喰のように長期間の練り置きはできませんが、大津壁を施工する前日に水で練っておき、施工する直前に再度水を加えながら塗りやすい固さに調整する。

これを行うだけで保水性はかなり改善されると思います。

 

■すさにも十分に水分を吸わせる

 

もうひとつ練り置きをおすすめする理由は素材のすさにも十分に水分を吸わせたいからです。

水で練ってすぐの麻や紙のすさは、水分を吸いきっておらず、ピンピンと立っており、塗り付けた時、すさを引きづったような表面になりました。

引きづった表面を直そうと鏝をとおしましたが、なかなか平滑にすることはできませんでした。

この現象を改善するのにも練り置きし、すさに水分を吸わせることが重要だと感じました。

 

 

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