「原料が変わりました」
この一言だけ聞くと、簡単なことのように思われるかもしれません。
しかし、左官材メーカーにとって原料を一つ変更するということは、製品を一から作り直すことに近い作業です。
今回、一部製品に使用している樹脂原料を変更しました。

きっかけは、イラン情勢の影響により、これまで使用していた原料の供給が不安定になったことです。
「今はまだ使えるから、そのまま使い続ける。」
そんな選択肢もありました。
しかし私たちは、お客様へ製品を安定して供給し続けることを最優先に考えました。
そこで、将来を見据え、安定供給が可能な原料への切り替えを決断しました。
もちろん、原料は単純に入れ替えれば終わりではありません。
樹脂が一つ変わるだけで、
- 粘度
- 作業性
- 接着力
- 乾燥後の強度
- 仕上がり後の色味
そのすべてが変化する可能性があります。
だからこそ、私たちは「原料が変わっても品質は変えない」ための検証を徹底的に行います。

今回対象となった製品は12種類。
それぞれについて、
- 従来の樹脂
- 代替原料①
- 代替原料②
の3パターンを製造し、比較試験を実施しました。

つまり、
12製品 × 3パターン = 合計36バッチ。
36回製造し、36回すべてを評価するという、非常に時間と手間のかかる試験です。
一つひとつについて、施工性だけではなく、
- 粘度は適正か
- コテ離れや作業性は変わらないか
- 十分な接着力があるか
- 乾燥後の強度は従来品と同等か
- 仕上がりの色味に違いはないか
細かな項目まで、一つずつ確認していきます。

この工程は、お客様には見えません。
製品が届けば、これまで通り使えて当たり前。
私たちは、その「当たり前」を守るために、見えないところへ最も時間をかけています。
原料を変更すれば、社内の仕事は何倍にも増えます。
それでも試験を省略することはありません。
なぜなら、お客様が購入されるのは「原料」ではなく、「近畿壁材工業の品質」だからです。

世界情勢が変わっても。
原料が変わっても。
私たちは、お客様が安心して使える品質だけは、決して変えません。
それが、左官材メーカーとしての私たちの責任だと考えています。
次回は、36バッチに及んだ比較試験の結果や、実際の検証の様子をご紹介します。











