新しい土(粘土)を混ぜて粘性を補填し再び壁に塗る
弊社は土の空間を五感で体感できる【土のミュージアム】を建築しました。
土という素材を体感していただき、土が持つ力、素晴らしさをもっとたくさんの方に知っていただきたいためです。
そんな土という素材も最近は「エコ」「SDGs」「再利用」などのキーワードから注目され、お問い合わせやミュージアムへ訪問いただく方が増えています。
そんなキーワードのとおり、壁に塗られている土を素材にした「土壁」は、剥がし落としたものを再度利用し、壁に塗ることができます。
ただし、剥がした古い土壁【古土】を再利用するには、その土の状態にもよりますが、注意点があります。
まず、異物を取り除く必要があります。古い土壁の剥がし方にもよりますが、剥がした土壁には木くずなどのゴミが混ざっている場合が多く、それらを取り除く必要があります。
次に粘土分(粘性)の補填です。
古い土壁は風化して粘土分が少なくなっている事が多く、剥がした土壁のみで壁に再度施工すると、壁への定着が弱いので塗った土壁が落ちたり、乾燥後の表面強度も弱く、もろい状態で仕上がることがあります。
ですので、昔から【古土】を再利用する場合は、新しい土と混ぜて粘土分(粘性)を補填し、施工する方法を取っている事が多いです。
実際に文化財補修の現場でも、剥がした土壁と新しい土を混ぜ、それから壁に施工する形を現在でも取っています。
古い土に新しい土を混ぜないといけないのはわかったけど、じゃあ割合は?という事になると、これも文化財補修の現場で多く採用されている容積比1:1をおすすめします。
容積なので同じバケツに1杯ずつの割合で混ぜます。
粘土分が十分にあれば混ぜなくてもいいのですが、その判断がなかなか難しいので、新しい土を混ぜた方が安心です。
古い土壁を再利用し、壁に塗る場合は新しい土の力もかりましょう。