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PEKIのお悩み解決ブログBLOG

2023/12/18(月曜日)【木が素材の下地】べニア・コンパネに塗り壁をする場合の下地処理

あく止め処理が重要 処理せず塗ると必ず出ます

 

木が素材の「べニア」「コンパネ」の上に漆喰、土壁などのお考えの方に注意していただきたい事があります。

それは「灰汁(あく)」です。

「灰汁(あく)」は水を経路に表面に上がってくるのですが、塗り壁材は水で練った材料を壁に塗って、乾燥するまで水分を保持しているため、

対策をせず塗り壁材を塗ると、木のアクが上がってきて、表面がシミのようになって仕上がってしまいます。

 

 

こでは当社独自に木が素材の下地「べニア」「コンパネ」に対し、あく止め効果が高かった処理に順位ご紹介します。

 

塗り壁専用クロスで下地処理

 

一番あく止め効果が高かった下地が「塗り壁シート」

 

 

このシートを一般的なクロスを貼る時と同じように「べニア」や「コンパネ」などに貼り付け、貼り付けた糊が乾燥後、漆喰や土壁を施工します。

このシートを利用した場合、あくは完全に止まっていました。

 

あく止め剤入りプライマーと下地材の併用

 

次に効果があったのがあく止め剤入り製品の併用です。

まず、べニアなどにあく止め剤入りの「島かべプライマー」を塗布し、乾燥させます。

 

 

その後、あく止め剤入り下地材「ボードベース」を塗り下地処理する方法です。

 

 

ただし、この処理方法であくが止まった試験サンプルもあれば、止まらず表面まであくが出てた試験サンプルもありました。

 

プライマー処理のみは80%以上アクが出る

 

ほぼ止まらなかったのは、あく止め剤入り「島かべプライマー」塗布のみの下地処理です。

ほとんどの試験サンプルであくが上がってきました。

 

今回は木が素材の下地「べニア」「コンパネ」の下地処理についてご紹介させていただきました。

灰汁(あく)が非常に出やすい下地だということをご理解の上、下地処理方法や、場合によっては下地変更なども念頭に置き対策をお願い致します。

2023/11/27(月曜日)天井に漆喰、土壁を塗る時のひと工夫

専用の下塗り材を利用する

 

自然素材の塗り壁の需要はさらに高まっているのを感じます。SDGsやエコで環境にやさしい素材という側面から注目いただいております。

当社には毎日数件のお客様から漆喰や土壁の素材に関してのご質問や、それらを施工するためのやり方のご質問をいただきます。

そんな中で、内部の壁への施工、特に最近は天井にも漆喰や土壁を塗って、空間の壁すべてを自然素材の塗り壁にしたいと思っている方が増えているようです。

 

 

樹脂(ボンド)配合塗り壁材ならそれほど気にする必要がございませんが、自然素材の塗り壁、漆喰や土壁は自身の定着力(接着力)がそれほどないため、天井に施工する場合は下地にひと工夫することで定着力を上げます。

天井はずっと下を向いているので壁面施工時より定着を上げる必要があります。なので、専用下塗り材を使用し定着を上げ、さらに工夫を加えます。

 

下塗り材表面を荒らす

 

内部の天井に施工する場合、石膏ボード(プラスターボード)が下地になることがほとんどです。

石膏ボード表面はツルツルした紙なのでひっかかりがありません。なので専用下塗り材を使用し、ひっかかりを作ってあげます。

壁面ならこれでOKですが、天井は下塗り材を塗った後、下塗り材表面を刷毛引きし、表面を荒らし、ひっかかりを大きくします。こうする事で漆喰や土壁の定着力を上げます。

 

天井に自然素材の塗り壁を施工する場合はぜひひと手間加えてください。

2023/11/15(水曜日)土壁の歴史と性能

土壁の歴史

 

人類の誕生が約500万年前。その人類が始めて住居としたのが土を掘った横穴式の住居です。

土は住居用の建築材料として人類の歴史と共に使われてきました。

日本で左官材料(塗り壁材)として始めて土が壁に塗られたのが、西暦500年頃の飛鳥寺建築だと言われております。その後、西暦700年頃に土工司とも言われる左官職(塗り壁職人)の基礎が出来上がったとも言われております。

このような歴史ある土壁は土・藁・砂の3つの素材から出来ており、1,500年ほぼ変わらぬ形で現在まで継承されています。

 

土壁の性能

 

土壁が現在までほぼ形を変えず、継承されているのは、その機能・性能が理由の一つだと言われています。

ここでは土壁の主な性能を紹介します。

 

■調湿性

土壁は古くから使われている酒蔵や貯蔵庫でよく見ることができます。その理由は、気温や湿度を調節してくれる力にあります。

日本の気候は、四季によって気温が大きく変化し、さらに雨が多く”多湿”という特徴があります。酒造りには湿度や気温の調整が必要になるため、調湿性に優れた土壁が酒蔵などに活用されてきました。

日本における梅雨の時期はジメジメと不快な気候ですが、土壁の家であれば湿気を吸い取ってくれるため、室内干ししても快適だと言います。また、冬に多い結露も防止してくれるため、結露によるカビの発生やシックハウス対策にも有効とされています。

 

■防火性

土は本来燃えにくいものです。そのため、土壁は耐火性に優れています。

また、土壁は火に接触して温度が上がっても有害な化学物質を放出しません。建築基準法の観点から見ても、安全な防火構造と言えます。

 

■消臭性

土壁には、家にこもりがちな生活臭を取り除く性質があります。料理・ペット・人の汗から発生する臭いなど、家の中には様々な臭いが漂っています。

この臭い成分の大部分は空気中に含まれるため、土壁が空気と一緒に吸収してくれる働きがあります。

 

土壁ならではの数値では表せない性能

 

上記が土壁の主な性能ですが、当社土のミュージアムにご来館いただき、土の空間を体験した方、多数に言われた言葉があります。

「すごく落ち着くので、ここにしばらく座っててもいいですか?ここで読書してもいいですか?」

「あたたかさ、柔らかさ感じます。素足で歩いてもいいですか?」

「この中にいるとなぜか気持ちがホッコリします」

などです。

主な性能のように数値やデータなどで表すことはできませんが、これらの土の空間体験談は、土壁ならではの性能と言えるのかもしれません。

 

人の手では作れない、作為的でない表情になる土壁

 

土の空間体験で、もうひとつ多くいただく意見が表情の豊かさです。

例えば土は同じ材料を、同じように施工しても、経年で少しずつ色が変化します。その変化は同じように変化せず、壁面内で変化するところと、変化がそれほど見られないところに分かれることがあります。

これは、その時採取した土に含まれる鉄分などの成分含有量に違いがあるためで、調湿を繰り返すことで色の変化に違いが出ます。

また、土の「割れ」や「朽ちていくさま」などは、それ自体、人間がコントロールできない柄、テクスチャになります。

このような土の自然の風合いが、表情豊かで魅力的だと言う意見です。

経年で変化する表情も、土の性能に含まれるのかもしれません。

 

これからの時代に必要な土壁

 

土壁の素材は土・藁・砂の自然素材です。剥がした土壁を処分する場合は、廃棄処分する必要が無く、元の土に返すことができます。

また、剥がした土壁は新しい土壁と混ぜれば再び壁に塗ることができ、再利用することもできます。

環境問題が大きな問題になっている現在、エコでサスティナブルな物が求められ、自然との共生を意識する方も増えています。

ゴミを出さず、再利用できるエコな土壁は、これからの時代に必要な建築材料としても注目されています。

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