AWASOブログ

2026/09/16(水曜日)海を望むヴィラに洞窟のような空間を

オーダーメイド左官材から生まれた「定番の空間デザイン」

 

「土の中にいるような空間をつくりたい」

そんなオーナー様のイメージから、一つのオーダーメイド左官材が生まれました。

舞台は、海を一望できる高台に新築されたリゾートヴィラ。

壁だけではありません。

土間・壁・天井を、すべて同じ左官材、同じ仕上げデザインでつなぐ。まるで洞窟の中にいるような、包み込まれる空間をつくりたい。

そんなご要望を受け、近畿壁材がオーダーメイドで左官材を開発しました。

 

そして完成から約1年後。

 

そのヴィラを気に入ってくださったオーナー様から、今度は別の新築ヴィラについて、

「前と同じ材料、同じデザインでつくりたい。ただし、今回は色を変えたい。」

というご依頼をいただきました。

今回は、一つのオーダーメイド左官材が、別の建築へと受け継がれていった事例をご紹介します。

 

きっかけはショールームで出会った「土の空間」

 

オーナー様が初めて近畿壁材のショールームを訪れたのは、新しいヴィラの建築を計画されていた頃でした。

そこでご覧いただいたのが、当社の「土の空間ショールーム」

土壁や左官材がつくる、自然な素材感

均一な工業製品とは異なる、土や砂がつくる表情

そして、左官職人の手によって生まれる凹凸や陰影

 

実際の空間の中で土に触れ、その質感を体感していただいたことで、オーナー様の中に一つのイメージが生まれました。

「この土の空間を、自分のヴィラにも取り入れたい」

 

さらに、そのイメージは壁だけにとどまりませんでした。

「土間・壁・天井を、全部同じ仕上げにしたい」

 

オーナー様からいただいたご要望は、とても明確でした。土間、壁、天井をすべて同じ材料で仕上げたい。

そして、洞窟の中にいるような空間にしたい。

一般的な住宅では、床・壁・天井にはそれぞれ異なる材料を使うことが多くあります。

しかし今回のヴィラでは、それらを一つの素材でつなげることで、空間全体をひとつの世界として表現することを目指しました。

床から壁へ

壁から天井へ

素材が途切れることなく続いていく。室内に入った瞬間に、まるで土に包まれているような感覚をつくる。

これが今回のオーダーメイド左官材の出発点でした。

 

「デザイン」だけではなく「建築材料」として成立させる

 

オーダーメイド左官材をつくる際、私たちが考えるのは見た目だけではありません。

今回のヴィラは、オーナー様が暮らす住宅とは異なり、不特定多数の人が利用するリゾート施設です。

そのため、

人が触れることを考慮した表面強度

建築物に求められる不燃性能

実際の施工を考慮した仕上げデザイン

広い面積を施工できる施工性

など、デザインと性能、そして施工性を合わせて検討する必要がありました。

「洞窟のように見えればいい」

というだけでは、実際の建築には採用できません。理想のデザインを、実際に施工できる左官材へ落とし込む。

そこまで考えることが、オーダーメイド左官材を開発する上で重要になります。

 

サンプルをつくり、実際の仕上がりを確認

 

ご要望をもとに、当社で材料を開発。

仕上げの質感や色、表情だけでなく、使用される場所や必要な性能、施工面積なども考慮して試作を行いました。

そして、完成したサンプルをご提出。左官材は、写真や言葉だけでは伝わりにくい素材です。

「この色です」

「この模様です」

と説明するよりも、実際の材料を見て、触れていただく。そのサンプルを確認していただき、採用が決まりました。

 

完成したヴィラはまるで「洞窟」のような空間に

 

そして完成したヴィラ。

土間から壁、そして天井まで続く同じ素材と仕上げ。素材の表情が空間全体をつなぎ、独特の一体感を生み出しました。

海を望むリゾートという開放的な立地でありながら、室内に入ると土に包まれるような落ち着いた空間。

自然素材である土の表情と、リゾート建築という現代的な空間が組み合わさることで、一般的な左官仕上げとは異なる世界観が生まれました。

そして何より嬉しかったのが、オーナー様に完成した空間を大変気に入っていただけたこと。

この「気に入っていただいた」という結果が、次のプロジェクトにつながっていきます。

 

1年後、同じオーナー様から再びご依頼。最初のヴィラが完成してから約1年。当社に、再びオーナー様からご相談をいただきました。

今度は、別の場所で新築を予定しているヴィラです。

 

そのご相談は、「前回のヴィラと同じ材料、同じデザインでつくりたい。」というものでした。

ただし、「今回は色を変えたい」とのご要望。

私たちは、このご依頼をとても嬉しく感じました。

なぜなら、前回のヴィラでつくった左官材が、単なる「一度限りのオーダーメイド」ではなく、オーナー様にとって新しい空間づくりの“定番”になったからです。

 

オーダーメイド左官材は「一度きり」で終わらない

 

オーダーメイドというと、「その建物のためだけにつくる材料」

というイメージがあるかもしれません。もちろん、それもオーダーメイド左官材の魅力です。しかし今回のように、一度開発した左官材をベースとして、別の建築に展開することもできます。

 

例えば、

■1棟目

土間・壁・天井

オーダーメイド左官材を開発

 

■2棟目

同じ質感・同じ仕上げ

カラーだけ変更

 

このように、一度つくった空間の世界観を、新しい建物へ引き継ぐことができます。

「同じ」にすることにも価値がある

建築や店舗のデザインでは、「他にはないものをつくる」ことが重要視されます。

しかし、オーナー様が複数の店舗やホテル、ヴィラなどを展開される場合には、あえて同じ素材を使うことにも意味があります。

同じ質感

同じ仕上げ

同じ素材

そこに色や空間構成の違いを加える。すると、それぞれの建物には個性を持たせながらも、

「このオーナー様の空間だ」

と感じられる共通した世界観をつくることができます。

今回のように、「素材と仕上げは共通、カラーだけ変える」という方法も、その一つです。

 

オーダーメイドだからこそできる「ブランド化」

 

今回の事例から、私たちが改めて感じたことがあります。

それは、オーダーメイド左官材には、空間のデザインを定番化できる可能性があるということです。

 

例えば、

ホテルなら

同じ左官材を使いながら、客室ごとにカラーを変える。

 

多店舗展開する店舗なら

ブランド共通の左官仕上げをつくり、店舗ごとに色を変える。

 

ヴィラなら

同じ素材・同じ仕上げを使いながら、建物ごとにカラーを変える。

「毎回違う材料を探す」のではなく、一度つくった素材を、自分たちの空間の“定番素材”として育てていく。

 

そんな使い方も、オーダーメイド左官材の新しい可能性だと私たちは考えています。

 

近畿壁材は「材料」だけでなく「空間」を考えます

 

今回のようなオーダーメイド左官材では、単にご希望の色の材料を製造するだけではありません。

「どんな空間をつくりたいのか」

「どこに使用するのか」

「どのくらいの面積を施工するのか」

「どのような人が使用するのか」

「どんな性能が必要なのか」

そして、「実際に現場で施工できるのか」

これらを一つずつ考えながら、素材と仕上げをつくっていきます。

それは、長年にわたって土壁や漆喰などの左官材料を製造してきた私たちだからこそできる、オーダーメイドの考え方です。

 

「こんな空間をつくりたい」から始めてください

 

「既製品では、イメージしている空間にならない」

「この質感を壁だけでなく、床や天井にも使いたい」

「店舗やホテルの世界観を、素材からつくりたい」

「自分たちのブランドを象徴するような左官材をつくりたい」

 

そんな時は、完成した材料を探すだけでなく、材料そのものをつくるという選択肢があります。

近畿壁材のオーダーメイド左官材サービスでは、イメージやコンセプトをもとに、素材・色・質感・仕上げ方法などを検討し、オリジナルの左官材をご提案しています。

そして今回のように、一度つくった左官材を別の建築へ展開することも可能です。

一度つくって終わりではなく、空間の「定番」として育てていく。それも、オーダーメイド左官材の楽しみ方のひとつです。

「こんな空間をつくりたい」

そのイメージから、世界にひとつの左官材を一緒につくってみませんか。

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