AWASOブログ

2026/07/02(木曜日)海からの贈り物を建築空間へ シーグラスを活用したオーダーメイド左官材を開発

近年、ホテルや店舗、商業施設の設計において、「サステナブル」や「SDGs」をコンセプトにした空間づくりが求められる場面が増えています。

「地域らしさを空間に取り入れたい」
「環境に配慮した素材を採用したい」
「単にエコな建材を使うだけではなく、ストーリーのある空間をつくりたい」

そんな想いを持つ設計士や空間デザイナーの皆様から、私たちは日々さまざまなご相談をいただいています。

今回ご紹介するのは、淡路島の海岸に流れ着いたシーグラスを再利用したオーダーメイド左官材の開発事例です。

 

海岸に落ちている「シーグラス」に新たな価値を

 

今回のプロジェクトは、研究室ではなく海岸から始まりました。

私たちが向かったのは、地元・淡路島の砂浜。

波に磨かれ、美しい表情へと変化したシーグラスを一つひとつ拾い集めました。

 

シーグラスは、もともとはガラス瓶などが長い年月をかけて自然に磨かれてできたものです。

本来であれば見過ごされてしまう素材ですが、私たちはそこに新しい可能性を感じました。

「建築素材として生まれ変わらせることはできないだろうか」

そんな発想から、この開発はスタートしました。

 

シーグラスを”素材”ではなく”デザイン”にする

 

集めたシーグラスを、そのまま左官材へ混ぜることはできません。

大きさや厚み、形状を調整し、左官材料として使用できるサイズへ加工。

 

その後、自社LAB(研究室)で何度も試験を重ねながら、シーグラスが美しく見える配合や配置を検証しました。

今回採用した仕上げは、表面を磨き上げて骨材の表情を引き出す【研ぎ出し仕上げ】です。

磨き上げられた表面から、淡路島の海が育てたシーグラスが自然に顔をのぞかせます。

 

一つとして同じ表情はありません。

それぞれが唯一無二のデザインになります。

 

SDGsは「伝える」ではなく、「感じる」時代へ

 

環境に配慮した建築は、もはや特別なものではありません。

しかし、本当に印象に残る空間とは、単に「リサイクル素材を使いました」という説明だけでは生まれません。

その素材がどこから来たのか。

なぜその素材を選んだのか。

どんな想いで空間へ取り入れたのか。

そこまで含めて、お客様に伝わることが大切だと私たちは考えています。

例えばホテルであれば、宿泊されたお客様へ。

店舗であれば、ご来店されたお客様へ。

「このシーグラスは、淡路島の海岸で集められたものなんです」

そんなストーリーが、建築空間そのものの価値を高めてくれます。

 

オーダーメイドだからこそ実現できる建築デザイン

 

私たちが手掛けるオーダーメイド左官材は、色や質感だけを変えるサービスではありません。

建築コンセプトやブランドストーリーに合わせて、素材そのものから設計するサービスです。

今回のようなシーグラスだけでなく、

・地域の砂や砂利

・瓦

・土

・貝殻

・木材

など、その土地ならではの素材を左官材へ取り入れることも可能です。

「地域の魅力を建築で表現したい」

「環境配慮を空間デザインとして伝えたい」

そんなプロジェクトにも、私たちは研究開発からお手伝いしています。

 

建築空間に、地域と環境へのストーリーを

 

建築は、人が集まり、記憶に残る場所です。

だからこそ、私たちは左官材を単なる”建材”ではなく、想いや地域性を伝える”素材”として考えています。

もし、これから計画されるホテルや店舗、住宅、公共施設で、

「その場所ならではの素材を活かしたい」

「SDGsやサステナブルな取り組みを空間で表現したい」

とお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

私たちの研究室とショールームで、素材づくりから一緒に考えさせていただきます。

2026/06/19(金曜日)パンの原点は大地にある 自然酵母ベーカリーに採用されたオーダーメイド塗り壁事例

店舗づくりにおいて、内装は単なる装飾ではありません。

お店の想いや商品の価値を、お客様へ伝えるための大切な要素です。

今回ご紹介するのは、自然酵母パンを販売するベーカリーに採用いただいたオーダーメイド左官材(塗り壁材)の事例です。

採用いただいたのは店内の壁だけではありません。

パンを並べる什器、店内の土間床、そして壁面まで。

店舗全体の世界観を統一する素材として、オーダーメイド左官材をご採用いただきました。

 

パンの原料は小麦 その小麦を育てるのは大地

 

ご相談をいただいた際、オーナー様から印象的なお話を伺いました。

「うちのパンは自然酵母が主役です。」

「その自然酵母パンの原料となる小麦は、大地が育てている。」

「だから店内も自然の大地や地層を感じられる空間にしたい。」

私たちがご相談いただいたのは、まさにその想いを素材で表現する方法でした。

単におしゃれな壁を作るのではなく、お店のコンセプトそのものを空間に落とし込む。

そこから今回のプロジェクトはスタートしました。

 

地層や土の表情を左官材で表現する

 

店舗デザインにおいて重要なのは、コンセプトと施工性の両立です。

どれだけ魅力的なデザインであっても、特殊すぎる施工方法では現場で再現が難しくなります。

そこで私たちは、これまで蓄積してきたオーダーメイド左官材の開発実績や施工事例をもとに、

・自然の地層を感じる質感
・土や鉱物を連想させる表情
・施工可能な仕上げ方法

を組み合わせたデザインをご提案しました。

 

 

カラーはオーナー様の想いを反映

 

デザイン提案後、オーナー様よりカラーのご要望をいただきました。

そこで複数のサンプルを製作し、実際の空間や照明環境を想定しながら検討を進めていきます。

オーダーメイド左官材の魅力は、既製品の中から選ぶのではなく、空間に合わせて素材そのものを設計できることです。

色だけでなく、質感や骨材の見え方、陰影の出方まで細かく調整しながら最終仕様を決定しました。

 

パンを並べる什器から壁・床まで統一

 

完成した空間では、

パンを並べる什器

店内の土間床

壁面

それぞれに同じ世界観を持たせています。

壁だけをデザインするのではなく、店舗全体をひとつの空間として考える。

その結果、お客様が店内に入った瞬間から自然酵母パンのストーリーを感じられる空間になりました。

 

オーダーメイド左官材だからできる店舗づくり

 

私たちは大正元年の創業以来、左官材料に携わってきました。

現在では研究開発から製造、販売、施工方法のレクチャーまで一貫して行っています。

今回のように、

「お店のコンセプトを素材で表現したい」

「既製品では表現できない空間をつくりたい」

というご相談を数多くいただいています。

 

 

店舗の世界観を素材からつくる

 

店舗デザインにおいて、本当に重要なのは見た目だけではありません。

その空間にどんな想いが込められているのか。

お客様にどんな体験を届けたいのか。

それらを素材で表現することが、オーダーメイド左官材の役割だと私たちは考えています。

もし現在進行中の店舗計画や住宅計画で、

「コンセプトを形にできる素材を探している」

そんなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

ショールームやLABにて、実際のサンプルをご覧いただきながらご提案いたします。

2026/05/30(土曜日)地域の砂利を磨き上げる 劇場の床に採用されたオーダーメイド左官材

オーダーメイド左官材のご相談をいただく際、私たちが大切にしていることがあります。

それは単に「色をつくる」「質感をつくる」ことではありません。

その場所にしかない物語を、素材として表現することです。

今回ご紹介するのは、ある地方公共施設の劇場で採用いただいたオーダーメイド左官材の事例です。

採用いただいたのは劇場1階部分の床。

施工面積は約1,000㎡にも及ぶ大規模なプロジェクトでした。

 

はじまりは「既製品では実現できなかった」こと

 

ご相談当初、設計チームは複数の競合製品を検討されていました。

しかし、求めるデザインと予算のバランスが合わず、計画は難航していたそうです。

そこで私たちにご相談いただいたのが、オーダーメイド左官材でした。

求められていたのは、劇場という公共空間にふさわしい重厚感と存在感。

そして、地域とのつながりを感じられる素材でした。

 

地域の砂利を床に取り込むという提案

 

打ち合わせを重ねる中で私たちが提案したのが、建設予定地周辺で採取される砂利を素材として取り入れることでした。

劇場は地域の人々が集い、文化を育む場所です。

だからこそ、その土地の素材を空間に取り込むことに意味があると考えました。

 

 

完成後、利用者の方はその床を見ても地元の砂利が使われていることに気づかないかもしれません。

しかし、その土地の記憶や風景が素材の中に息づいている。

私たちはそんな左官材づくりを目指しています。

 

求められたのは「深い黒」

 

もう一つの大きなテーマが色でした。

設計チームから求められたのは、一般的なグレーではなく、深みのある濃い黒。

劇場という非日常空間にふさわしい落ち着きと緊張感を兼ね備えた色です。

黒は単純に顔料を増やせば良いわけではありません。

使用する骨材や素材とのバランスによって、見え方や奥行きが大きく変わります。

試験施工を繰り返しながら、空間に馴染みながらも存在感を放つ黒を追求しました。

 

施工後に表面を研磨する施工方法が採用され、混ぜ込まれた砂利や骨材が表情として現れます。

光の当たり方や見る角度によって変化する豊かな表情。

 

 

そして、人が歩くたびに生まれる経年変化。

劇場という多くの人が利用する場所だからこそ、年月とともに魅力が増していく素材を選択いただきました。

 

オーダーメイドだからできること

 

私たちは日々、さまざまなオーダーメイド左官材を開発しています。

色を変えること。

質感を変えること。

機能を加えること。

それらももちろん大切です。

しかし、本当に価値があるのは、その場所だけの理由を素材に込めることだと考えています。

今回の劇場では、地域の砂利を取り入れることで、その土地らしさを空間に残すことができました。

オーダーメイド左官材は単なる建築材料ではありません。

その場所の物語をつくる素材でもあるのです。

もし現在進行中のプロジェクトで、

「既製品では表現できない」
「その場所ならではの素材をつくりたい」

そんな想いがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

私たちのLABでは、素材選定から試験施工まで一貫して対応しています。

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